ローマ教皇フランシスコのメッセージ
2019年「貧しい人のための世界祈願日」教皇メッセージ
「貧しい人の希望は決して失われない」
「貧しい人々は、幸いである」(ルカ6・20)。神の国を説き始めるにあたってイエスが示された真福八端はこのことばで始まることを、どうして指摘せずにいられるでしょう。この逆説的な告知が意味しているのは、神の国はまさしく貧しい人のものである、なぜなら彼らこそ神の国を受けるにふさわしいからだ、ということです。
どれほど多くの貧しい人に、わたしたちは日々出会うことでしょう。時の経過と文明の発展は、貧しい人の数を減らすのではなく増やしているようです。福音の中の真福八端は、幾世紀も経て、ますます逆説的になっているようです。貧しい人はなおいっそう貧しくなり、今日、それはさらに著しくなっています。
しかしながら、貧しい人を中心に据えてご自分の国を築き始めたイエスは、まさに次のことを伝えようとしておられます。その国を築き始めたのはイエスですが、ご自分の弟子であるわたしたちに、貧しい人に希望を与えるという責任を担いながらその国をさらに発展させるという務めを託されたのです。とりわけ今のような時代には、希望と信頼を取り戻すことが不可欠です。それはキリスト教共同体が決して軽視してはならない務めです。わたしたちの告知と、キリスト者としてのあかしの信ぴょう性は、まさにそのことにかかっているのです。 (中略)
この「貧しい人のための世界祈願日」にあたっての、そして何にもまして日常生活でのキリスト者の活動は、それがどんなに称賛に価する不可欠なものであっても、支援活動だけにとどまらずに、苦境にある人に然るべき注意を十分払うよう、あらゆる人を促すものでなければなりません。
この「愛のまなざし」は、真の幸福を求めている貧しい人を「本当の意味で心配することへの最初の一歩」(同199)なのです。うわべだけのつかの間の幸福ばかりを追求する大量消費、使い捨ての文化の中で、キリスト者の希望をあかしするのは容易ではありません。本質を見極め、神の国を具体的に明確に告げ知らせるためには、考え方を変えなければなりません。 主イエスの弟子が、どんなときにも揺らぐことのない福音宣教者であるためには、希望の具体的なしるしを広めなければなりません。すべてのキリスト教共同体、そして貧しい人に希望と慰めをもたらさなければならないと感じている皆さんにお願いします。
親しみも連帯も奪われていると思う人がだれ一人いなくなるよう、進んで協力したいという意欲を大勢の人の中で高めるために、この「貧しい人のための世界祈願日」を役立ててください。異なる未来を告げる預言者のこのことばが、わたしたちとともにありますように。「わが名をおそれ敬うあなたたちには、義の太陽が昇る。その翼にはいやす力がある」(マラキ3・20)。
2019年11月17日

『今月のメッセージ』 2019年 11月
「教皇の来日に向けて」
清水教会信徒 松浦史明

11月が近づくにつれ、近頃ではハロウィンのお祭りが世間の話題になってくるようになりました。渋谷や川崎などでのハロウィン祭りは一大イベントになっています。ハロウィンは10月31日ですが、カトリックでは11月は「死者の月」と呼ばれています。典礼暦では11月1日は諸聖人の祭日、11月2日は死者の日とされていて、亡くなったすべての聖人、亡くなったすべてのキリスト者を記念することから、11月が死者の月と呼ばれることになったと考えられています。
英語で諸聖人の祭日はハロウ・マス(又はオール・セインツ・デイ)というそうです。一説によるとクリスマスの前日の12月24日をクリスマス・イブというように諸聖人の祭日の前日である10月31日をハロウズ・イブといい、これがなまってハロウィンと呼ばれるようになったともいわれます。10月31日はもともと古代ケルト人の秋の収穫を祝う祭りが行われていた日でした。この10月31日の収穫祭の習慣が、先住民族であったケルト文化の残るイギリスからアメリカ大陸に渡り、アメリカ文化として日本に受け入れられてきたもののようです。したがって、ハロウィンという言葉は「諸聖人の祭日の前日」という意味でありながら、その実際の起源や内容はほとんどキリスト教とは関係ないものであると言って良いようです。
日本では死者の霊を迎える習慣としてお盆があります。中国で祖先の霊を祭る「中元節」が日本に伝わってお盆になったとも言われ、この時期にお世話になった人に贈り物をするお中元の習慣も合わせて生まれたようです。亡くなった方々の霊あるいは魂が生きている人とともにあり、また生きている人に会いに来てくださったりお祈りをしてくださったりしているというのは洋の東西を問わない信心になっているようです。
さて、11月はいよいよわたしたちの教皇フランシスコが来日されます。来日テーマは「すべてのいのちを守るため~PROTECT ALL LIFE(プロテクト オール ライフ)」に決まりました。教皇来日はヨハネ・パウロ二世が1981年に来日して以来38年ぶりだそうです。38年前というと私がまだ洗礼を受ける7年前のことで当時キリストの教えについての知識もほとんどなく、教皇が来日された時の記憶もほとんどありませんでした。今回洗礼を受けたあと初めて教皇の来日に巡り合い、たいへんうれしく思っています。
3年前、2015年の待降節から2016年11月の王であるキリストの祭日まで教皇フランシスコはいつくしみの特別聖年を開催されました。「いつくしみはとこしえに」。すべての生きとし生けるものへのいつくしみとあわれみを呼びかけられた教皇の思いは今回の来日テーマにも引き継がれていると思います。今は天国で主とともにある諸聖人やわたしたちの家族、兄弟姉妹とともに、教皇フランシスコの来日を、喜びをもって迎えたいと思います。
「主に依り頼む人は真理を悟り、
信じる人は主の愛のうちに主と共に生きる。
主に清められた人々には恵みと憐れみがあり、
主に選ばれた人は主の訪れを受けるからである。」
(知恵の書3章9節~11月2日死者の日のミサ第一朗読から)
*フランシスコ教皇様訪問日程表
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2018.05.01
教皇メッセージ「世界召命祈願の日」、和野信彦神父「日曜日に集まるということ」を掲載しました。
2018.05.01
新規公開しました。